2000年の番組ですが、さっき気づきました。Sky Perfect TV サイエンスチャンネル「実験!発見!歴史科学館」の第一話です。
「雪は天からの手紙 中谷宇吉郎」(29分。視聴にはReal Playerが必要です。Win版、Mac版)
伝記的な内容もおさえつつ、業績を紹介しています。もちろん、雪の結晶(水の氷結結晶、氷の結晶)の形状が決まるメカニズムや中谷ダイアグラム、「雪は天からの手紙」という言葉の意味も。家庭でもできる、ちょっとした実験も紹介されています。
さて、なんでこれを採り上げるのか。もちろん、いい番組だってこともありますが、たまたま見ちゃった下記の記事があんまりだと思ったのです。
江本勝の日記ウェブサイト( www.masaru-emoto.net/newemoto2/ )より。
2007年12月14日(金) 読者からの質問25もう、どっからどう突っ込んだものか。
(略)
【質問】 (ジャエルさん、アメリカ、34歳、主婦)
愛、嫌悪といった感情を受けた水が氷結して異なる結果が結晶に表れるなら、空から降る雪片も同じことでしょうか?凶悪犯罪で知られる町からの雪は普通の町とは違う形になるのでしょうか?
【回答】
「雪は天からの手紙」という名言を、世界的に有名な雪の結晶の研究者である、故中谷宇一郎先生(北大の教授)は残しています。ですから答えはYESです。
江本勝(wikipedia)が中谷宇吉郎(Wikipedia)に言及すること自体が驚きです。彼の主張(言葉や思念が水の氷結結晶=氷の結晶=雪の結晶の形に影響を与える)は、中谷宇吉郎の業績と真正面から衝突するからです。
いったいどういうことか。
(可能性1)江本は中谷宇吉郎の名前や『雪は天からの手紙』(amazon)という随筆の存在(あるいは、その言葉の断片)を知っていても、その内容までは読んだことがないのに上記のようなことを言っている。
(可能性2)雪の結晶の形が決まるメカニズム(空気中の水分量と気温の関係)を明らかにした中谷ダイアグラムの存在も内容も理解し、自説が無茶なこともわかっているが、それをあえて無視して上記のようなことを言ったり、『水からの伝言』(wikipedia)だの『水は答えを知っている』なんてもんを書いた。
(可能性3)中谷宇吉郎が「エラい人だ」という知識はあるが、研究内容が理解できなかったために、自説と相反するものだということがわからなかった。そのため矛盾を感じていない(前述の番組を見ればわかるが、雪の結晶の形状の話は、小学校高学年ぐらいで理解できる内容だ。江本の主張とは相反するということも含めて)。
(可能性4)『水からの伝言』だの『水は答えを知っている』なんてもんを書いた頃は中谷宇吉郎も彼の業績も知らなかった。→最近知ったが理解できていない。→最近知ったが読んでいない。→最近知り理解できたが無視している。
(可能性5)中谷宇吉郎の業績はとっくに知っていたが、「自説とは矛盾しない、両立すると考えている」と強弁すれば済むと考えている。
ほかにも組み合わせ方があるかもしれませんが、どれだとしても、ひどすぎる!
どれでもひどいけれども、いちばん悪質なのは「可能性2」か「5」で、同時に、最もありそうなのも「2」か「5」でしょう。というのは、氷の結晶について研究していて中谷宇吉郎を知らないってことは考えにくいし、彼の業績や、それが自説に対する最大の反論になるってことが理解できないとは考えられないし。
しかも、そうだとすると、ああやって言及しているということは、「全部わかってやってる」ってことがバレても構わないと考えている(たかをくくっている?)ってこと……かな??? いや、そうだろう、そうに違いないと考えてはいたものの、これって、あまりにもあからさまで……驚嘆を禁じえないというかなんというか……。
中谷先生がご存命なら泣くぞ!(いや、とっくに草葉の陰で、泣き、怒り、呆れておいでだと思いますけどね)