PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

だからケータイの料金体系は詐欺同然だって言われるんだよ!


mixi日記から転載。リハビリ記念
mixiではニュース記事にリンクされて、そっちから読みに来る人向けに書いたので
#いきなり書きはじめてるけど、iPhoneSoftbankがと書き立てられている件について
#の日記ですわ。しかし、これiPhoneがどうとかいうよりも、「スマートフォンの料
#金体系をどう広告するか」という問題だったみたいね。


報道を一つ読んでも全然わからなかったので、mixi上で見つかる限りの報道を網羅的に読んでみた。そしたらやっと意味がわかった。


というわけで、勝手に報道を合成し、省略されているのであろう部分をちょっとだけ補いながら整理してみる。事態を理解するには不要な部分は削った。iPhoneユーザーでもSoftBankユーザーでもないので間違いがあるかもしれない。ツッコミ歓迎。


超要約:
最低1029円/月からと説明されていたSBのスマホ料金体系が、
総務省の調べで、実際にはそれで済むケースがほとんどなく、
常に3千〜4千円かかることがわかったので怒られた。


もちょっと詳しく:
1)SoftBankは、「最低料金1029円/月から」と説明していた
SoftBankは、iPhoneのデータ通信に適用される2段階定額プランの広告やカタログなどで、「標準プライスプラン」と「パケットし放題forスマートフォン」の二つの料金プランがあると表示していた。[後者がいわゆる「2段階定額プラン」なんじゃないかと思う。このプランの場合、]データ通信を少ししか使わない場合は月額1029円で済むが、一定以上利用すると通信量に応じて最大4410円までかかる仕組み。そのため、あまり通信しなかった月は料金が抑えられるとして「定額料が1029円からスタート」などと説明していた。


2)総務省が実験したら、使わなくても3〜4千円かかった
しかし、昨年秋に利用者から総務省に「使っていないのに課金された」との苦情が寄せられた。


総務省が4台の端末で実験したところ、購入後に一切利用しなくても、初期設定の状態で自動的に通信が行われ、下限額の1029円分を超えるデータ通信が行われることが確認された。うち3台の通信量は上限額に達した。通信料は3000円台後半〜4410円かかっていたという。[1029円の約3〜4倍の料金が常に発生していたことになる。それにしても、4台中3台が最高額に達したって……最低額を設定してある意味、完全にないよねー。]


3)なんでそうなった?
パンフなどによると、「パケットし放題 for スマートフォン」は1万2250パケット(1.5MBくらい)まで1029円の定額というプランという説明がされていた。しかし、仮にiPhoneを初期設定のまま、メール、ウェブ、アプリの利用などを一切行わない状態であったとしても、一月のあいだに1万2250パケットを使い果たしてしまうことが確認されたと言っていいだろう。


そんなことが起きてしまうのは、スマートフォンだから。iPhoneなど多くのスマートフォンは、定期的な自動通信をすることで、ユーザーが操作しなくても設定やデータの同期などを行っている。その際に3G網が使われるとパケット通信料が発生する可能性がある。[平たく言うと、電源が入っているだけでも常にどこかと通信して最適状態を保つことでサービスや機能が成立しているわけで、そこでも料金が発生しているのね。]


              *
以下推測。


そうだとすると、1029円で済む事態は1ヶ月間ずっと電源を切ってあったり、たまにしか電源を入れないという使い方の場合に限られることになる。こうした使い方は、ちょっと考えにくいが、「プレゼントでもらったけど、よくわかんないから放置していた」などというケースぐらいか。


苦情は、おそらく「たまにかかってる電話を受けただけで、ほかには使っていないのに、最低料金で収まったことがない」というような形で発覚したのではないか。しかし、Softbankへ問い合わせても、「スマートフォンは自動通信で最新の情報を入手したり、ソフトを更新する機能を備え、利用者が設定しなくてもその一部が作動している[毎日新聞の説明から引用]から、そういう場合もある」とかなんとか言われて納得できなかったのではないか。そして、その疑問は正しい。まったく使わなくても電源を入れているだけで常に最低額を大きく超えるなら、少なくとも「1290円から」という説明は虚偽だということになるからだ。


              *


ひょっとすると、ショップの店員がこんな説明をしていればよかったのかしれない。


  「2段階定額」って、ちょっと実情に合っていない部分があるんですよ
  ね〜。アテにできるのは「どれだけ使ってもいくら」という上限額だけ
  と思っていただいた方がいいかもしれません。
  っていうのは、下限額(最低料金)が1029円で収まるケースは非常に少
  ないんです。スマートフォンの場合、しょっちゅう自動でデータ更新と
  かするから、しかたないんですよ。下限額で済むのは、たとえば滅多に
  電源を入れないで置いてあるような場合になっちゃいます。ずっと電源が
  入っているだけでおよそ3000〜4000円かかっちゃうんです。つまり、
  それが事実上の最低料金になっちゃう、しかも更新の頻度やデータ量は月
  によって違うから、最低金額も月によって異なる。
  え? ややこしいですか? だけど、買ったらバリバリ使いますよね?
  だったらどうせ最低額でおさまらないですよ。だったら問題ないですよね?
  ね? ね?


長ぇよっ! 聞いてられねぇっ!!(爆)


              *


感想。


いい加減、ケータイ料金は定額を基本とした単純な体系にシフトしていかないとヤバイのではないか。長らくケータイを使ってきた人間で、新しいものに飛びつく習性を失わないままにここまで来たのに、一方では新技術・新サービスなどには理解が追いつかないという中高年が増えてきているはずなんだもん。


そういう世間的にも影響力のあるような層が不満を爆発させて、訴訟やらなんやらドンドンやっちゃうようになったら、キャリア各社はつまらんところでコスト増大要因を大量に抱えたりすることになるんじゃないか。それって、そう遠くない時期に起きかねないんじゃないか。


そうでなくても、最近は高齢者が契約時に困ったことになってたりするみたいよ?


まあ、今回の件はSoftbankも電源入れて放置したような場合にどれぐらいパケットを使うか把握してなかったんじゃないかとか(えー? ほんとにー?)、別の要因もあるかもしれんとも思うけど。一人勝ちっぽい、しかも外資系のiPhoneを叩きたいとかいう部分もメディア側・総務省側にあるのかもしれん(だいたい、なんで消費者庁とかじゃなくて総務省なのよ、って思わなくもない)。


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参照したのは下記の各記事。


すでに書いたように、上記では割愛した情報もポロポロある。また、ネット上には別の媒体の記事も、なんぼでもある。概観するには読売と時事が役立ったけど、一般紙って書いてる側がわかってないんじゃないかってニオイもある。詳細を知るにはデジタル系媒体がいいんだけど、こっちは逆に読者が前提として持っているだろうとされる情報量が多くて(いや、ライターやデスクの思い込みじゃないかと思ったりもするけどさ)、一般紙の記事を読んでから読まんとわかんなかったりもする。

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