PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

主食と副食:楽しい辞典


下記はいずれも抜粋です。


Weblio(研究社『新和英中辞典』)

  • しゅしょく1 主食
    the staple [principal] food; a (diet) staple; 《fml》 the chief article of food
  • ふくしょく(ぶつ) 副食(物)
    dishes other than staple food 《★英米ではふつう主食 (staple food) はパン, 主菜(main dish) は肉でそれ以外の料理は side dishes; それを合わせた 「おかず」 に当たる英語はない》.


Weblio(研究社『新英和中辞典』)

  • bread
    1 パン 《★日本の米とは違い主食ではない; 【関連】 パンのかたまりは loaf; 薄く切ったものが slice; 焼き[トースト]パンは toast; ロールパンは roll》.
    2 (日常の)主食物,糧(かて); 生計.


噛み合ってねえ(^◇^;) おまけに「主食じゃない主食物」って、厳密なんだかなんなんだか、わけわかんねえ。


以下おまけ
Wikipedia(^^;;

  • 主食
    主食(しゅしょく)とは、食事の中心として主要なエネルギー供給源になる食物のこと。〜欧米においては、主食という概念があまり存在しないが、現在のような食生活は100年程度の歴史しかない。実際には数百年に渡って小麦・ライ麦・大麦などを主要なエネルギー供給源にしてきた歴史がある。欧米においても一般庶民は、長年にわたってパンとスープのみで毎日の食事をまかなっていたことが知られている。本稿では、これらの国の状況を説明するにあたり、主要なエネルギー源を賄う食物を指す語として「主食」の語を用いる。
  • 副食 → 惣菜
  • 惣菜
    惣菜(そうざい)とは、主食とともに食べる様々な料理、すなわち副食、おかず(菜)のこと。総菜とも。〜日本では、米飯を中心とする主食を副食と区別して考える伝統があり、主食と副食の概念がない地域では料理に相当するであろう。


Yahoo! 百科事典小学館日本大百科全書(ニッポニカ)』)

  • 主食 立項なし
  • 副食 立項なし


ネットで百科@Home平凡社『世界大百科事典』、『マイペディア』)

  • 主食
    日常の食事の主体となる食物。 副食の対概念。 先進国,発展途上国のいかんを問わず, その国で,あるいは同一国のある地域で, 自然にあるいは栽培して生産される安くて, 最もうまい,カロリーの高い (貯蔵性があるのが,より好ましい) デンプン質に富む食料 (ただし, 生肉摂取中心のカナダ・エスキモーの場合は除く) が, 世界的にみて主食となっている。
  • 副食 立項なし


MSN エンカルタ 百科事典 ダイジェスト

  • 主食
    ふだんの食事の中で主体となる食べ物をいう。世界では米、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ソバ、アワ、ヒエなどの穀類(穀物)や、ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ、タロイモ、ヤムイモなどのイモ類が食べられ、腹持ちのよいデンプン質の食品をもちいる地域が多い。
  • 副食 立項なし


おまけのおまけ(辞書以外)
大人の食学(たべがく)-主食を考える-:アンケート 東京電力TEPORE(テポーレ)

  • Column 日本の「主食」を食文化史的に見れば/食文化史研究家 岡田 哲
    「主食」というのは、欧米にはあまり見られない、東アジアを中心とした独自の食文化です。


Japanese Lifestyle

  • JAPANESE CUISINE
    Similar to Chinese cuisine, there is a concept of staple (main) foods (主食, shushoku) prepared from five carbohydrate-rich cereals (五穀: 米, 麦, 粟, 豆, 黍 or 稗, or rice, wheats and oats, foxtail millet, beans, proso millet or Echinochloa) and main and side dishes (副食, fukushoku, or more commonly, おかず, okazu) of which role is adding flavors to staple foods. Okazu are usually designed "salty" to eat with shushoku with synergistic harmonization and basically not expected to have them alone in Japan.
    A standard Japanese meal nearly always consists of a bowl of cooked white Japanese rice (gohan) as shushoku with accompanying tsukemono (pickles), a bowl of soup, and a variety of dishes known as okazu - fish, meat, vegetable, etc.

実のところはどうなのだろう

語学事典が、こういう別の学問領域がからんでややこしい事柄について微妙な記述をしていることは、残念ながらままあることで仕方ないといえば仕方ない。研究社の「英米ではパンが主食だ」「パンは主食じゃない」という齟齬は、親切にしようとして墓穴を掘ったともいえるが、一応は別々の辞書なので、そこまで整合性をつけるのは無理といえば無理かも。


JAPANESE CUISINEを見ると、現代の日本の食事を現代の英語圏の人に説明するには、ローマ字で「shushoku」「gohan」「okazu」などと説明するしかないようだ。しかし、英語の日常語にその概念がないとしても、当然だが「欧米にはない概念」などとは言えない。一般の人があまり気にしてこなかっただけだろう。


しかし、正解としては、いったい次のいずれなのであろうか。いや、「パンは英米で主食なのかどうか」もそうだけど、そこじゃなくて、主食と副食という概念って、どこまで有効なのかという話。たぶん、日常語にまでなってない国が多いってことはあるのでしょう。そのうえで、学問の方ではどうなってんのかなあ、と。


こんだけ可能性がある。

  1. 主食・副食の区別は、過去も現在も世界的に有効である
  2. 主食・副食の区別は、かつては世界的に見ても有効であったが、現在は東アジア限定
  3. 東アジアじゃなくて日本限定
  4. 栄養学と文化人類学など、学問ジャンルによって見解が異なる

なんとなく、4番じゃないか思うのだけど。具体的には、栄養学上は区別されていて、現代の欧米の食事もその観点から分析可能なんだけれども、文化人類学とかには共有されていないので混乱が生じているとか、そんな感じ。どうなんでしょうね。