科学者の説明責任なんてことが言われて久しい。1970年代以降、公害や遺伝子操作技術の登場なんかを経て、世間は「確かに科学技術が現代社会に及ぼす影響は大きい」と得心したのだろう。
1970年代ぐらいまで、まともな学者はマスメディア(特にテレビや週刊誌)なんかには出てこないという話があった。その理由はよくわからない。一般向けの仕事は学者としての業績にならないからだとか、マスコミご用達の、いい加減な話ばかりする学者もどき・元学者(学者タレントだかタレント学者なんて呼ばれてたかな? もう死語かな、と思ったらググるとけっこう出てくるなあ・汗)と同一視されたくないからだとか、言われていたけれど。
しかし80年代から90年代ぐらいになると、メディアからの求めをむげに断る学者さんは減ったような気がする。昨今では逆に、予算獲得のためにはメディア露出が有効だなんて話を学者さんから聞くようになった。変われば変わるものだ。
インターネット普及後、誰に求められたからというわけでもなく、ネット上で自分の考えや研究成果を世間に発信してくれる学者さんが増えている。研究者同士に向けたものは早くからあったけれども、我々のような門外漢に向けた情報が増えてきたのは2000年代に入ってからかな。
その層の厚みが格段に増していることを最初に痛感したのは、2009年の新型インフルエンザ禍のときだったかもしれない。
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