PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

オカルトな主張がなぜ受け入れられるか


毎度、kikulogのネタです。


kikulog:七田眞はなぜ幼児教育の専門家と思われているのか
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1165332928


標題についてだけいうと「パンフなど自前のメディア等でそううたっているから」ってことが大きそうですが(^^;;


ポイントは「どうしてある種の早期幼児教育や能力開発系の教室では、トンデモどころかオカルトばりばりの言説が受け入れられちゃうのか」というところかと思うので、その辺について。


そういう教室などを利用する人が「怪しい話にたどり着くまで調べない」「その結果、上辺の情報を鵜呑みにしちゃう」っていうのがまず大きいとは思いつつ、利用者が「きくまこ氏にしてみれば『こりゃあ怪しさバリバリだ』と思うような情報」までたどり着いても怪しいと思わないのはなぜか、という話だと限定して考えてみました。ほとんど想像ですが、十数年前に宮仕えをしていた頃に、不承不承ながら早期幼児教育などに関するムックを作ったことがあるので、その辺の経験も思い出しつつ。


もう切羽詰まっていて藁にもすがる気持ちで参加している人の場合は、全然気にしていられないのではないかとも思うので、ここでは考えず、「ふつうの人が参加している場合」のことを考えてみます。


まず「怪しい」の基準が違いそうです。


【1.その言葉から思い描くものが違う】
たとえば「ESP」って言われても「超能力」「どまんなかのオカルト」とは思わないのではないかと。ESPという言葉を知らないというか、あんまり興味がなくて覚えていないってこともありそうですけど、七田でも「EPS(当てっこ)遊び」っていう説明(www.shichida.jp/education/system.htm#1)なので、怪しく見えないとか。
もっと言っちゃえば「潜在能力開発」は幼児教育のお教室にはよくあるうたい文句なので、ESPといわれても「ああ、ここはそういう位置づけなのね」程度で済むとか。


【2.怪しいのに慣れっこ】
そもそも教育に関する主張は玉石混淆が甚だしいというか、ワケのわからんものが多いと以前から感じています。この分野では誰でも経験談や信念なら語れちゃって「にわか専門家」になれちゃうんだなあ、と思います。とりわけ早期教育の分野ではそれが甚だしいと感じます。だから少々の怪しさでは目立たないということはありそうです。


【3.理論的背景を重視しない】
あんまり理論的背景を気にしない人が多いということもありそうです。
これは別にお母さま方に真性のアホが多いとかいうわけではなく、期待しているものが違うから気にならないという話。


先に「鵜呑み」と書きましたけど、「ウチの教室に来ると、こんな奇跡的なことが起きる」とかいう話まで鵜呑みにしているわけではない。そうじゃなくて、通うのが大変ではない、母子参加できる快適なサロンを求めているだけだというケースは少なくないようです。これは前述のムックを作っていたときに実感。


そういう母子の場合、教室でやっていることを教室側は「能力開発だ」と言ってても、お母さんにとっては「遊び」なわけです(実際、遊びをするだけだというような教室側の説明は多いです。教室側にとっては、理論的バックグラウンドのある「意味のある遊び」なんですが、そこは受講者はあまり重視してない。どうせやるなら「ただの遊び」よりはいいかも、ぐらい)。だからたとえば水泳教室を選ぶか英才教育・能力開発教室を選ぶかって、あまり重要な問題ではなかったりするようです。そうなると、子どもに悪影響がありそうだとか、ウサンクサイ話に同調することを強要されるのでなければ、別に裏でどういう理屈を考えている「遊び」でもかまわないってことになります。
「そういう人は詳しいことまで調べない」ってわけでもなくて、その教室ではどんなふうに時間を過ごすかは重要なポイント(自分がなにかをやらされるのはイヤとか、あれもこれも手作りして持って来いといわれても困るとかもあるし)なはずなので、綿密に調べる方もいます。そういうときにオカルティックな言説に触れても、前述の条件を満たしていれば、あまり気にされないのではないかと想像されます。


あと脱線かもしんないけど「オカルト」っていう言葉にも、あまり価値判断が働かないっていうか。パチンコの世界では「オカルト攻略法」なんていって「なぜか効果があるオマジナイやジンクス的な攻略法。理論的な根拠はないけど経験的には疑う余地がない」みたいな意味合いでも使われている例もあるようで、お気軽な用語になっている気もします。だいぶ前にマンガ(講談社『週刊コミックモーニング』に連載されてた)で読んだ例なんでスカかもしれないけど。