PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

「牛乳神話」神話1


kikulogのコメント欄で下記の記事が紹介されていました。


フーズアンドヘルス研究所:「「牛乳神話」崩壊に期待する―ドクター新谷頑張れ!!」(2007年4月12日)
http://www8.ocn.ne.jp/%7Ef-and-h/column/2007_0412.html


他の方の紹介によると、書いているのは、幕内秀夫さんというベストセラー作家さんだそうです(すいません、編集者なのに存じ上げませんでした。でもプロフィールを見ると「作家」でもないのかな? とも思います)。


このコラムをぼくなりに要約してしまうと、〈栄養学者などの「あるある批判」には、同番組はフードファディズムだというものがある。しかし、それは栄養学者の天に唾する行為だ。それを言うなら栄養学者が広めて来た「牛乳神話」こそフードファディズムである。給食なんか牛乳が主食だ。しかし、ドクター新谷のおかげで業界も説明のしかたも変わって来たようだから、ドクター新谷を応援しちゃう〉というものです。指摘内容には大筋賛同できるのですが、これはどうかと思われる点がいくつかありました。
・「牛乳神話」が健在であり、現代も栄養学者たちがそれを推進しているかのように読める
・学校給食では牛乳が主食
姑息な修正案かもしれませんが、「フードファディズムにも似た牛乳過信・牛乳依存がある(あった)のではないか」とか「あたかも主食だと考えているかのように、毎日給食に出される」とかと言うのであれば、引っかからずに全面的に賛成できたように思います。しかし、これでは誇大なセンセーショナリズムの類いにも見えかねません。他の部分では賛同できるだけに、惜しまれます。


また、後述のように、業界もそれなりに前から誤解を正す取り組みはしているわけなので「ドクター新谷頑張れ!!」とまで言うのは、敵の敵は味方なのね、ちょっと乱暴だなあという気もいたします(芸風とでもいったものかもしれませんが)。


実は、幕内氏のサイトには上記コラムと同じような主題の文章がもうひとつありました。


幕内秀夫の食生活日記:最大のフードファデイズム(2007/1/22)
http://blogs.yahoo.co.jp/makuuchi44/27331174.html


こちらはすんなりと呑み込めるように思います。文章が短いためか、論点も明解です(メーカーや栄養学者たちが「栄養がある食品」といった側面を強調しすぎたり、牛乳については長い間誇大に評価したりして来た、それを棚に上げて他者を批判するのはどうなの、ってことですよね?)。コラムには「一品万能主義は危険」といったものもあります。
幕内さんの食に関する主張の全体像はわたしには全然つかみきれていないのですが、少なくともこの辺は極論や暴論ではなさそうです。



しかし、こうした「勇み足」や過度な一般化、センセーショナリズムは、私も含めて誰もが陥りやすい穴だと思います。存在しない「科学万能主義の科学者」や想像上のニセ科学ビリーバーに対する批判とも似ているように思えます。ですから、上記2点について、ざっと調べながら、もう少し考察してみたいと思います。
長くなってしまいましたが、下記の構成で、適宜分割して掲載することにします。
 「牛乳神話」神話2■「牛乳神話」とはなにか/「牛乳神話」をネットで探す/「牛乳神話」は健在と言えるか
 「牛乳神話」神話3■業界は誤解を解く努力をしているか
 「牛乳神話」神話4■「牛乳神話」はフードファディズム
 「牛乳神話」神話5■学校給食では「牛乳が主食」か
 「牛乳神話」神話6■学校給食や栄養指導と牛乳依存
 「牛乳神話」神話7■「批判」につきまとう危うさ
 「牛乳神話」神話8■余談:「給食に牛乳」の別の問題