PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

「牛乳神話」神話2■「牛乳神話」とはなにか



まず「牛乳神話」の中身を考えてみましょう。


先のコラムを見る限りでは、幕内氏は「牛乳神話」とは「牛乳は完全栄養食品だ」という主張のことと考えていると要約してもよさそうです。ほかの説明は出てこないので。
では、完全栄養食品とはどんなもののことでしょうか。

完全栄養食品とは何でしょう?それだけ食べれば生きていける食品、つまり人間に必要な栄養素が全て含まれている食品のことです。厳密にいえば「完全栄養食品」というものは存在しません。
という説明が簡潔でわかりやすいと思います。こうした説明が、「牛乳は完全食品か」ということについての、最近の栄養学的な考え方の代表的なものと言っていいでしょう。


■「牛乳神話」をネットで探す
Googleで「牛乳 完全食品」で検索してみました。ネット上の言説がすべてではありませんが、手軽なところ、ということでご容赦を。
ヒットした60件のうちの8割程度は「完全食品とまでは言えない」または「むしろ有害だ」という言説でした(有害論の是非については過去の関連記事をご参照ください)。
しかし、なかに10件前後ですが、下記のような文章が見られます。
・牛乳(またはヨーグルト等の乳製品)は完全食品・完全栄養食品だとする文章:1 2 3 4
・完全食品であるかのように誤読する可能性のある文章:1 2 3 4 5 6


先の完全栄養食品に関する説明が正しいのであれば、これらは誤った説明や不適切な説明と言うことができます。
ところが、これらは困ったことに、乳製品メーカーや農協(JA)等による説明です。


■「牛乳神話」は健在と言えるか
Googleでヒットした60件のうちの8割程度は、前述のように「牛乳は完全食品とまでは言えない」または「むしろ有害だ」という言説でした。「完全食品ではない」と「有害」の比率は半々といったところでしょうか。
上位60件のうち2割前後に上るサイトの説明が不適切という状況は、「牛乳神話」の根強さを語るものと見ることもできます。ただ、上記が例外なくメーカーや農協によるものだということは、微妙なところですが「誤った説明を鵜呑みにして広めようとしている消費者(メーカー等に騙された牛乳信者)をたくさん見つけた」というわけではないということでもあります。
そして、「牛乳は完全食品ではない」あるいは「完全食品だという表現は行き過ぎだ」という理解が比較的最近になってのものだということを考え合わせれば、修正(表現の修正であれ認識の修正であれ)が追いついていないと見ることもできます。


もうひとつ、牛乳神話の信者がいるとした場合、その多くは新しい知見に触れていない方々で、彼らがネット上で発言することは多くはないだろう、ということは全体を考える上では割り引いて考える必要があります。


いずれにしても「牛乳神話」の中身が「牛乳は完全食品」というものだとすれば、不適切な説明が残っていることは望ましい状況ではありませんが、少なくともネットにおいては「牛乳神話」は崩壊しつつある、ということができるでしょう。


これについてはちょっと気にかかる部分もあります。それについては「牛乳神話」神話7をご参照ください。