先日「一度も食べたことないし見たことないけど美味しそうと思っている食べ物」という増田があった。で、ふと今度、初めてボルシチを食べるよ、という主旨のブコメをしたら、35も☆をもらえた。
一度も食べたことないし見たことないけど美味しそうと思っている食べ物
現物を見たこともないボルシチを生協に注文したので来週食べます。おいしいといいなぁ。
2021/11/25 17:35
届いたので、先日作って食べた。その記録。
最初に断っておくが、ここでの感想はボルシチに対してのものなのか、「生協のミールキットのボルシチ」に対してのものなのか、オレにもわかっていない。なにしろ、これが初めてなので。良いにつけ悪いにつけ、作り方のせいということはないと思うが、保証の限りではない。
ちなみに「うまかったか?」と訊かれるとちょっと困る。野菜好きでポトフ好きのムスメは「うん。悪くない」という感じだったが、オレはというと「オレは今なにを食べてるのだ?」という感じでピンとこなかった。オレははっきりした味のもの、肉っけがある食いものが好きなせいかもしれない。
あと「作った」と書いたが、ミールキットというのは半加工品なので、すでに切ってある具材を炒めたり煮たりするだけ(だから「作り方が良かった/悪かった」ということはなさそうな気がするが、後述のようにオレは翌日食べているので初日に食べていれば、また違ったかもしれない)。
こんなレシピ(2人前)。
賽の目に切ったビーツ、ごろりと乱切りにしたジャガイモとニンジンはすでにそこそこ加熱してあった。
原材料など。
実は、特に食べたいと思ったわけではなく、ムスメが「食べてみたい」というので注文したもの。ブコメにも書いたように、ボルシチという料理は名前こそ50年ほど前から知っているが、現物は食べたことはもちろん、見たこともない。どこで読んだのか、なにやら赤カブっぽいものを入れた、赤いシチュー的なものらしいという知識はあった(ところで半世紀ほど前の小説とかエッセイって、ロシアやソヴィエトがやたらによく出てきませんでした? 共産主義社会主義への期待と異国への憧憬がないまぜな、ある種の流行りであろうか)。
見慣れない「ミルポワ」なる原材料は、賽の目に切った香味野菜(ニンジン・タマネギ・セロリ)をペースト状になるまでバターで炒めたものらしい。カレーなどにおけるタマネギのソテーみたいなもんか。フランス語だってさ。ロシアはフランスの影響が強いねえ。
んで、どういう加減でそうなったのかは忘れたが、まず初日はムスメが食べ、オレは翌日食べた。料理している際に「いい匂いがしてきたぞ」ということがよくあるのだが、なんか「赤い! 赤いな!」ということばかりで匂いにまであまり気が回らなかった。「けっこうスパイシーな香りがする」と思ったような気もするが、なんの香りだったのだろう。にんにくか? 赤いのでスンドゥブを思い出したが、味も香りもぜんぜん違うし、赤さも方向性が違う。もちろんボルシチは辛くない。
下の写真は初日のムスメ用ボルシチ。赤い。サワークリームが完全に白飛びしているが許されよ。スープには最初からビーツが入っており赤かったのだが、そこに刻んだビーツを足すとさらに鮮やかな赤が染み出して行き、もうめったやたらと赤い。
中央の、なんか羊羹ぽく見える小さいのが、後で加えた賽の目ビーツである。赤いというよりも赤紫? ビーツというのはムスメによると色素細胞が壊れやすく、調理していてもそこらじゅうに色がつくものらしい。切ってない丸ごとのビーツを新聞紙でくるんでいるだけで、その新聞紙が赤く染まることもあるとやら。そういえば赤紫の色素と黄色の色素があって、その結果、赤くなる、なんてことも言っていたな。
しかし、本当に赤カブとは別物なんだなぁ(ちなみに分類上もぜんぜん別物だと。ムスメがナデシコ目とかいうので「日本ではナデシコの仲間は食わないのではないか」などと言ってしまった。ナデシコとは属も科も違うから仲間とは言えないと反論された)。
んで、翌日食べたオレの分がこちら。ビーツの赤がジャガイモに染み込んで、さらに赤い。味見してみたら、物足りない感じがしたのでタマゴを落としてみた。
味は、まあ酸味のあるポトフのようなものか。ムスメが「クリームをまんべんなく全体に馴染ませるといい」と言っていたが、その辺は好みだろう。
食べてみて、オレの第一声は「味がない」であった。するとムスメに「おとうさんは、野菜味のものはすぐに『味がない』と言う」と言われた。うん、そうね。ポトフでもベーコンとかソーセージを使ったものじゃないと「味がない」と言い出してしまうもんな。クレージーソルトを振って、粉チーズを振って食べた。
どっかで「ボルシチというのはビーツを使うということ以外は、なにも決まりがない」と読んだが、いくらなんでもそれだけってことはあるまい。煮込まないで焼いてもいいのかよ。
たとえばこの記事には〈ロシア料理には欠かせない大切な食材は3つあり、「ビーツ」「スメタナ(サワークリーム)」「ディル(香草)」ですが、ボルシチにはその3つがすべて入っており、ロシア人のソウルフードとも呼ぶべきもの〉とある。この3つは必須なのではあるまいか(ていうか、ロシア料理には欠かせないなら、あらゆるロシア料理に入ってるんじゃないのか? よくわからん。写真を見ると、もっと具が多いな。その方が食べでがあってよさそうではある)。
というわけで、オレ的には「ごろごろのベーコンとか、ぶっといソーセージで作るともっといいかも」「サワークリームは脂っけを補っているのだろうか。それぐらいなら、もっと油を使ってしまえばいいのに」という感じ。ムスメに「またリピートするか?」「ブロッコリーでも入れるとクリスマスカラーっぽくなるから、クリスマスにとか」と訊くと「うーん……たまにでいいかな」という。次に作る機会はあるのだろうか。
ロシア方面の人、なんかすいません。
関係ないけど、サワークリームをスメタナと言うのね(厳密には両者は違うらしいが)。ちょっと調べたら作曲家のスメタナさんとは関係ないらしい(大好物だったのであだなになったとかいう話かと期待したのに)。