PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

朝日新聞の無介助分娩礼賛記事に批判多数


11月17日付で朝日新聞の地方版に出た「http://mytown.asahi.com/areanews/hyogo/OSK201011160141.html」(魚拓)という記事に、いくつもの批判が上がった。


以下、目に付いた批判例

記事については直接言及せず(ただし批判には同意している)、さらに関連の話題を扱っている例もある。


上記では、こうした出産方法を選んだ家庭よりも、そうした行為を礼賛する記事を掲載したということに主眼が置かれている点が共通しているようだ。助産師会や公的医療機関が警鐘を鳴らしている状況(「http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2010091802000075.html」や「http://www.fuchu-hp.fuchu.tokyo.jp/medical/sanka02.html)を考えると、この記事を不見識とする意見は至極まっとうと言えるだろう。当該記事の執筆者はもちろんだが、それを通したデスク・整理部等といったチェック担当、ひいてはそのようなシステムがありながら機能し得ていない朝日新聞全体の問題ととらえている。もっともだと思う。


助産師のサポートを得た自宅出産どころか、ここまで無警戒・無頓着な無介助出産まで「自然」礼賛の記事に仕立て上げる無神経さに開いた口がふさがらない。記事の家庭では無事に出産できたからよいようなものの、なんらかの問題を生じていれば、近隣の産科病院に、検診歴のない「野良妊婦」として「飛び込み受診」することになるわけだ。こうした記事につられて「病院に頼らない出産」を選ぶ人が増えれば増えるだけ、問題を生じる例も出てくる。さらに産科医療に重荷を背負わせることになるのは明らかだろう。これで「責任ある対応ができない」という医療機関や医師が出てきたら、今度はそっちを叩くのだとすれば、まるでマッチポンプだ。周産期医療の課題をややこしくするような医療機関や医師を批判するような報道が目立つなかでも、これは白眉飛び抜けていると言ってもいい。


大メディアは関わる人間が多い。そのためにチェック機構をもつ。しかし、扱う情報量が厖大になればなるほど関わる人間が増える。そのため、原理的にはそのチェック能力も下がらざるを得ないことになる。「日本にクオリティペーパーはない」と言われるのは、主要各紙の図体があまりにも大きくなりすぎていることに起因しているのかもしれない。それを考えると、むしろ全国紙がそこそこのレベルの記事をそれなりの数掲載してくれている幸運に、ぼくらは感謝すべきなのかもしれない。


しかし、そうである以上、読み手としては「同じ新聞社の記事でも玉石混交」と念頭に置かねばならないということになる。たとえば出版物が「商業出版物だからと言って質が担保されるわけではない」「同じ出版社でも、執筆者・担当者が違えば別会社も同然」などという事情と同様だ。ただ、仮にも数少ない全国紙であり、大部数をバラ撒いている以上、このままでは「メディアとしての責任をどう考えているのか、恥ずかしくないのか」との誹りは免れないだろう。


先ほど、Googleで記事名をブログ検索してみた(検索結果)。
とくにコメントなく紹介している例が2例あった。

ほかは、いずれも批判記事だった。


地方版の記事だったことがよかったのか、記事に感激して「わたしも!」とか書いているブログは見つからなかった。これは不幸中の幸い(もっとも、別の検索方法でならゾロゾロ見つかったりするのかもしれないが)。しかし、コメントなく紹介している例が「結婚相談情報室」と「出産祝いギフト・出産記念に赤ちゃんの涙を保存」という業者っぽいものだったことは、別の悩ましさをあぶり出している。大メディアの記事は、このように「利用」されやすい。テレビ並に困った存在だ。ほんと、勘弁して欲しいよ……。


以下暴論。テレビにしろ新聞にしろ、でかくなり過ぎたメディアは、ろくなことにならんと思うので、なんとかした方がいいんじゃないか。なんかこう独禁法かなんかで地方単位にバラしちゃえないものだろうか。そんで記事だの番組だのを相互に提供しあえば、全国紙的な需要にも用は足りるのではなかろうか。