PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

「ゲーム脳」「脳内汚染」など:相関と因果


サンデー毎日』2月26日号(2/14発売号)に「ベストセラー『脳内汚染』で注目される ゲームで脳が壊れる説に学会はブーイング」と題する記事が出ているらしい。


kikulog■ゲーム脳・脳内汚染・サンデー毎日(2006年2月15日)
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/%7Ekikuchi/weblog/index.php?UID=1139970054


『脳内汚染』は1/15の毎日新聞書評で大いに持ち上げられていた(すでに毎日のサイトでは閲覧できないので、Googleのキャッシュ)。サンデー毎日の記事でもこの書評から語り起こされているが、ネット上でも多くのツッコミの的となった。


kikulogの上掲記事でも触れられているが、どうも「相関と因果の違い」が世間、とくにメディアの執筆者の間で理解されていないことが多い。また、統計調査を行った側もその点に鈍感だ。


とかいって、ぼく自身も「ああ、この主張、なんか飛躍がある」と思っても、以前はどこに飛躍があるのかをうまく説明ができなかった。「その一点だけでは説明できないでしょ」と言ってもわかってもらえないのだ。
今は、kikulogのおかげで「相関関係があるってことと因果関係があるってことはイコールじゃない」という突っ込み方を覚えたのだが、そう言えばわかってもらえるってもんでもないよね(-_-)


で、相関と因果についてはkikulogの下記の記事とそのコメントで学びました。頑張って読破してね(^^;;


kikulog■惑わされないための練習問題(2005.9.11)
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/%7Ekikuchi/weblog/index.php?UID=1126449378


コメントの中にも相関と因果をごっちゃにしている例として「朝食と学力」って話が出てくるけれども、この手の例はほんとにたくさんある。例えば下記の記事なんかでも小見出し〈テレビゲーム利用時間長いと「がまんできない」〉は完全にアウト。


MSN毎日新聞■携帯メールで知り合った人と直接会った高2、17% 都調査(2006年1月31日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/net/news/20060131org00m040023000c.html

(前略)
◇テレビゲーム利用時間長いと「がまんできない」


 テレビゲームをする子は小学生が最多で6割を超え、15%は1日あたり2時間以上だった。小学生全体で「がまんすべきことをがまんしない」の子は約3割だったが、テレビゲームを1日に2時間以上する子は48%で、しない子の23%と比べ、利用時間が長い子ほど「がまんできない」傾向があった。


 ゲーム時間が1時間未満の小学生で、家庭でのルールがあるのは6割だが、2時間以上では割合が逆転。ルールがない子が6割になり、ルールがない子ほど長時間使う傾向があることが分かった。ゲームやパソコン・インターネットを使うときのルールがある子供は、小4が最多で学年が上がるにつれて減少した。

ゲーム時間が長いからがまんできないのだ、なんてことはこんなデータからは言えないはずだ。もっとも、後の本文を読むと「家庭でのルールの有無」が出て来るので、記事本文を書いた人はなんぼかわかっていたのかもしれない(細かい話になるけど、見出しをつけた人=整理部がアウトだったんだ、という見方もできる。単にその辺に鈍いのか、あるいは字数制限があるからしょうがないよとか、キャッチーな見出しにしたかっただもんとか、理由はわからんけど)。


誰か、相関と因果について、わかりやすくまとめといてくれないものか。自分でやるべき?(^^;;