PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

「オレは馬鹿だからと開き直りながら理屈っぽい人をイヤがる話」あるいは「だからダメな科学バラエティは許せない」


poohさんちの以下のエントリを読んで、なるほどと思ったりでもそれはと思ったり。


Chromeplated Rat:馬鹿がデフォルトの国(2007年2月14日)
http://blog.so-net.ne.jp/schutsengel/2007-02-14


私も理屈っぽい子どもでした(^^;; 煙たがられていたかどうかは、あまり覚えていません。子どもはそういうことに敏感だから、多分、そんなにはイヤがられなかったんだろうな。変な理屈をこねるので、おもしろがられたような記憶はあります。
だけど大人でも理屈っぽい人は、あまり歓迎されませんよね。攻撃的だったり、発言の意味を読みとるのに労力がかかったりと、「周囲に負荷を強いる」人が多いからなのかな、と思っています。


私はいまもそこそこ理屈っぽいのですが、さほど怒りっぽくはないのだか、話が比較的分かりやすいのだか、その点で周囲の人に嫌われるということはあまりないようです(希望的観測かもしれませんが・冷汗)。相変わらず「理屈っぽい人」とか「話がもって回って長い人」というような認識(^^;; はされているようなのですが、釈然としない顔をしている人を見ると頼まれもしないのに解説しちゃうこともあるので、うまくいくと重宝されることも。
たとえば普通の市民や教員がいるような集まりで、役所の人が混乱した用語でIT系の怪しい説明をしたりする席の端っこに、私もいることがあります。私は「パソコンの人」とも思われている自覚があるので、そういうときに、ついつい役所の説明を「通訳」したり、ついでに「さきほどおっしゃったことは、こういう意味になるけど、違いますよね、こうですよね」なんて確認したりするのです。これは出席していた方々に「わかるように説明できる人もいるんだ」「わたしたちが無知だからわからないんだと思ってたけど、わかるように説明できないわけじゃないのね」と喜ばれました。私に向かってのお世辞じゃなくて、そういう感想を述べ合っているのが帰りの廊下で聞こえちゃったんです(日頃の役所の説明は、どれほどワケワカランものであったのやら……。まあ、短くわかりやすく説明できる事柄ばかりではないので、無邪気に無知なままでいられても困ることもあるんだけど)。
理屈っぽい子どもは、そんな感じで役に立つ機会がほとんど得られないので、あまりプラス方向に理屈力を発揮できず、むしろオトナが答えられない(答えにくい)ような疑問をぶつけてマイナス方向の理屈力の「屁理屈」や「口答え」ととらえられ、煙たがられることが多くなるのでしょうね。いや、実際、オトナをやり込める快感ってあるし、わかっててもついやっちゃうってこともありそうです。


もう20年以上も前、大学時代に「オレは頭が悪いから」と主張した知人がいましたが、彼は「頭がいいやつと話をしていると、丸め込まれて騙されているような気がする」と言うんですね。
おそらく、彼の了解を待たずにどんどん話を先に進めるような人に何度か出会って、話の筋道を追えないというような体験を繰り返ししたのだろうと思います(と書いていて、ここで学校の授業を思い浮かべてしまった)。後で振り返っても筋道をたどれないので釈然としない印象だけが残る。ちょっと乱暴かもしれませんが。
でも、同じような経験はボクだってあるし、そんな経験をしたことのない人は少ないだろうと思います。これ、こういう後味の悪いことにしないためには、どんどん質問するしかないんだけど、タイミングもあるし、それでもわからないこともあるし。そもそも「そんなこともわからないのか」と言われるのが怖くて聞けないとかも、あるのかもしれない。まあ、総じて慣れていないと難しいということなのかも。


で、馬鹿自慢をしちゃう人の根底には、そういう体験がいくつもいくつもあるのかもしれない。また、それは共感を呼びやすいのだろう。なんて思うのです。


先の大学時代の彼は「頭がいい人」を遠ざけようとはしていないようでしたが、そういう警戒心がどうしても働いてしまうようでした。
が、その、いつもなら追えない筋道をわかりやすく噛み砕いて話そうとしている人(そのときはボク)には好感をもつというか、少なくとも警戒心は解除される。警戒心を解かれたから理屈っぽいヒトだけど「頭がいい人」ではないと認識されて、「こいつにならわかってもらえるだろう」と、上述のような話をしてくれたのだろうと思います。
でも、警戒心を解いちゃっても、そりゃ無理ないですよね。「あっち側」の頭のいい人じゃなくて、「こっち側」の説明してくれる人だと思っちゃうわけだから、いわば味方なわけで。


テレビの情報バラエティや・科学バラエティの悪質なところは、そういう素朴な信頼感を逆手に取って裏切っているところですよね。