PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

自尊感情関係


【求む情報】自尊感情や自己肯定感の効用に関する実証的研究」関係。直接は関係ないかもしれんけど。


北山研究室(ミシガン大学京都大学):研究プロジェクト
http://mail.hi.h.kyoto-u.ac.jp/users/cpl/project.html


「自尊心」「認知的不協和」など、西欧と日本では事情が違うかもしれないという研究。


・認知的不協和の生起プロセス
(略)自分が選択したものを正当化するという現象は、認知的不協和現象として、古くから検討されてきたパラダイムである。にもかかわらず、この現象が東洋において追試されにくいことも報告されてきている。最近行われた Suzuki & Kitayama の研究では、従来用いられてきた認知的不協和の手続きを用いた場合、確かに日本においてその傾向が見られないが、だからといって認知的不協和現象が日本において存在しないわけではなく、その手続きにおいて他者の存在を想起させるようにすると、その現象が生じることが示唆されている。つまり、自分が選択したからそれに対して肯定的な態度を持つというのは、欧米文化における自己観の表れであるが、一方で関係志向性の強い東洋文化においては、そのような線形性が成り立たない。むしろ自分が選択したという行為より、他者がどのような選択をするかという情報が重要であり、それを基準として自己の態度を決定するというプロセスが存在していると言える。


・主観的幸福感
(略)高い自尊心を持つことや自己効能感を多く持つことによって、文化に適応しやすくなり、主観的な幸福感も高くなるというこれまでの理論には、欧米文化における自己観が色濃く反映されている。少なくとも東洋における自己観がこれと異なる限り、このような理論が当てはまるとは言いにくい。認知的不協和現象でも見られたように、他者の存在が重要であるならば、自尊心や自己効能感よりも、自己が他者と円滑かつ情緒的な関係性を持つことこそ文化への適応を可能にし、それが主観的な幸福感をもたらすという予測が成り立つであろう。近年の研究は、この予測が妥当的であることを示している。例えば、Kitayama, Markus, & Kurokawa (2000) は、日頃経験する肯定的な感情が、アメリカ人の場合専ら自尊感情と結びついていたのに対し、日本人の場合専ら他者との関与的な感情と結びついていたことを示した。また、Uchida & Kitayama の研究によれば、主観的幸福感の経験に、アメリカ人の場合は高い自尊心を持つことが関係しているのに対し、日本人は、他者から情緒的援助をもらうことが関係しているとされている。