PSJ渋谷研究所X(臨時避難所2)

はてダ http://d.hatena.ne.jp/kamezo/ からインポートしただけ

【種】芹沢文書「覚えておきたい、ニセ科学リスト」の読み方


芹沢文書さん(いや、DocSeriさんが正しいのかな……)の「妄想科学日報」に掲載された「覚えておきたい、ニセ科学リスト」が2週間ほど前にネットの一部で大きな話題を呼んだ。はてなブックマークに並んだ膨大なコメントがそのインパクトを語っている。


はてブを見てもわかるように、このリストには賛否ある。けれども、ぼくは「ニセ科学対策教材の種」としては、なかなか完備した「一連の文書の一部」だと考えている。
で、どう紹介しようかなあなんて考えながらページを上がったり下がったり、ほかの記事を読んだりしていて、このリストのあり方や読み方自体がニセ科学対策学習だなあ、単品で見るから誤解するっていう側面もあるよなあ、やっぱりひとまとめに紹介するのがいいなあ、なんて思うので、このエントリを書く。


とっかかりは、リストの末尾にある「関連エントリ」としてリンクが貼られている項目。ていうか、以下に挙げているのはそれだけです。もちろんほかにも示唆に富んだ記事が「妄想科学日報」にはたくさんある。でも、下記の記事を読んでからほかの記事を読むと、ムダに遠回りしないで済むよ、とぼくは思う。


というわけで、「主要な芹沢文書(ニセ科学関連)はどういう順に読むのがよいか」というのがこのエントリの主旨。以下、ぼくの考える順番。


亀@渋研Xの推奨する順番:
 1.ニセ科学の見分け方(妄想科学日報 2007-04-26
 2.正しい懐疑マニュアル(妄想科学日報 2007-06-20)
 3.覚えておきたい、ニセ科学リスト(妄想科学日報 2007-11- 28)
 4.陰謀論と懐疑論の違い(妄想科学日報 2007-02-20)


まず考え方を知り、その使い方を読み、事例に触れ、最後に実用・実践編、とまあ、そういう具合に並べたつもり。


お気づきのように書かれた順番ではない。では、なんでこの順番か。実は、書き手の心理についての勝手な想像に基づいている。


まず、芹沢文書さんは、ずーっと懐疑主義的な記事を書かれている。ニセ科学についても積極的に発言してこられた方だ。
そうこうするうちに、某所や某所での陰謀論者のふるまいや言説に何度目かの心痛や苛立ちやらを覚え、また「一見して懐疑的に見える」ということにいかに多くの良識と知性を備えた(ように見える)人が陥るものかということに思いをはせ、「陰謀論懐疑論の違い」を書いておこうということになったのが2月。


陰謀論懐疑論の違い」でもニセ科学傾倒者と共通している、なんていう指摘もしてあるのだけど、どうも怪しいものというのを見分けるのに困難を感じる人は少なくないようだなあ、なんていうことは以前から感じていたので、この4月にもっとずっと入門的な「ニセ科学の見分け方」が書かれる。


ふたたび懐疑論陰謀論(ニセ懐疑論)みたいな迷宮に思いを馳せ、ニセ科学批判周辺に繰り返し現れる「怪しげな理屈言い」みたいな存在にも心を痛め、「んー、911だけじゃなくて、もうちょっと一般化した考察の基本や、事例への当てはめ方について書いておくと、わかってもらいやすいかな。そうすると、怪しげな理屈言いの言説を見ても、ダークサイドに落ちにくいかもなあ」などという思いやら、さきの2つの文書を補うような意味合いやらで「正しい懐疑マニュアル」が6月に追加される。


そういうあれこれを踏まえた上で、「最近こういう問題に気づいた人たちにとっては、すでに『これはほとんど黒だ』とか『これはグレーだ』とか議論済みなものについてイチから調べろというのは、どうなんだろう。はたまた『これはまだ決着がつきそうにないぞ』とかいうものもそうだ。ほぼ決定的に真っ黒な定番ぐらいはわかっていたほうが、お互いにムダにつらいことを減らせるんじゃないか。FAQ的な事柄については、さくっとまとまってても、いいんじゃないか」というぐらいの心持ちで書かれたのが、「覚えておきたい、ニセ科学リスト」で、これが11月のこと。


繰り返すけど、これはぼくの勝手な想像ですよ? でもまあ、少なくとも「最初にリストじゃ、『このリストで判断しよう』なんてアホは出てくるよな」とは一読して思う。それよりは、こんな順番で読むと誤解しにくいんじゃないかと、そんな感じなのであります。


教訓:「周辺の情報も見ましょう」これはニセ科学批判に限りませんよね。